
ギターピックアップは、大別するとシングルコイルピックアップとハムバッキングピックアップ(ハムバッカー)の2種類があります。
そこで今回は、フェンダー系に代表されるシングルコイルピックアップについてお話ししましょう。
シングルコイルピックアップの特徴
ギターピックアップの基礎知識でお話ししましたが、ピックアップはマグネットとエナメル線によるコイルが基本原理となっています。
特にこのシングルコイルピックアップは、もうそのまんまコイルそのものと言えます。
理論的には非常にシンプルなものです。
もちろんメーカーとしては、知恵を絞ってあらゆる技術を駆使し、極限まで音質を追求しているわけであり、シンプルがゆえに、企業努力が必要になってくるのですけどね。
さて、音の特徴としては、まず高域特性に優れていることが挙げられます。
この高音域(ハイ)っていうのは結構重要なポイントで、いわゆるヴィンテージな音、耳に痛くない絶妙なバランスの高域のキラキラ感がとにかく色っぽい。
その音色はベルトーン(鈴鳴り)なんて言われますが、こういったハリのある高音域を出力できるのが大きな特徴の一つです。
高域特性に優れているので、ピッキング時のアタック感や、歯切れの良さも売りであり、カッティングの気持ち良さは、やはりシングルコイルピックアップならではって感じですね。
また、当然、フロントピックアップであっても高音域がしっかりと出るわけです。
フロントピックアップでもハイが出るので、甘い音でありながら高域も兼ね備えていると言う、何とも魅力的な音になります。
クリーンのカッティングやアルペジオであっても、強めに歪ませたソロであっても、フロントピックアップはかなり使えますよ。
ピックアップはマウントする位置によって音質がガラリと変わります。
フロント側にマウントすると甘くウォームな音になり、リア側にマウントすると堅くトレブリーな音になります。
それと、これはもう僕が大好きなポイントなのですが、5弦や6弦といった巻き弦での開放弦のサウンドです。
少し歪ませてクランチにした状態での巻き弦開放の音はもう最高!
あのバリバリとかビンビンと響く、何とも言えない音のフィーリングは、残念ながらハムバッキングピックアップには出せないものなんですよね。
うーん、こう考えてみると、あの巻き弦開放のブリブリ感がたまらなくて、僕はシングルコイルピックアップに心惹かれているんでしょうね。
シングルコイルピックアップのデメリット
ただ、やはりシングルコイルピックアップならではの弱点もあります。
ノイズが出る
ピックアップは、その上に位置する弦の振動を拾って電気信号に変換するわけですが、例えばギターを弾いている部屋の蛍光灯のノイズも、近くにある何らかのノイズも同様に拾ってしまい、それらも合わせて電気信号として出力してしまうのがノイズの原因です。
まだギターの創世記の頃、今のように弦のゲージもライトゲージとかスーパーライトゲージなんて細めの弦がなく、太いへヴィゲージを使っていた時代には、弦振動の方がそういった外来ノイズよりも大きかったので、さほどノイズも気にならなかったらしいですけどね。
でも、その当時のギターの役割は主にコードワークやバッキングで、ソロなんて概念がなかったわけです。
なのでへヴィゲージでも問題なかったのですが、今の主流はバッキングからソロに至るまで、ギターの持つ役割は多様化していますので、やはり細めの弦を使うことが多くなります。
すると、必然的にノイズも目立ってしまうわけですね。
シングルコイルピックアップの総括
さて、まとめると、一般的には、シングルコイルピックアップは出力(パワー)が抑えめで高域特性に優れており、歯切れの良いサウンドを出力してくれるという認識でいいでしょう。
ですが、もうこの21世紀の世の中では、あらゆるメーカーがしのぎを削って色々なタイプのシングルコイルピックアップを作っているということを忘れてはいけません。
ハムバッキングピックアップよりもパワーがあって歪みサウンドに向いていたり、中音域、低音域にピークを持つタイプとか、元々あったシングルコイルピックアップの概念を飛び越えてしまっている感があります。
ですので、いわゆる昔ながらのヴィンテージ系と、いまどきのモダン系と区別して考えなければいけないのかも知れませんね。
シングルコイルピックアップを購入する場合には、自分の求めるギターサウンドがヴィンテージ系なのか、モダン系なのかをしっかりと把握し、それに合ったタイプの物をチョイスしましょう。
もっとも、ものすごい種類のシングルコイルピックアップがあるので、これは選ぶのが大変です。
しかしまぁ、そういった悩みもまた楽しからずやってトコですけどね。