今回は、ギブソン系のギターに代表されるハムバッキングピックアップ(ハムバッカー)についてお話しします。
これもシングルコイルピックアップと同じように、マグネットとエナメル線によるコイルを基本原理としているのですが、シングルコイルピックアップと何が違うのでしょうか。

ハムバッキングピックアップ開発の出発点

それは、シングルコイルピックアップが基本的には文字通り一つのコイルから成るのに対し、ハムバッキングピックアップはダブルコイルから成っている点です。

ピックアップ ハムバッキング

簡単に言うと、ハムバッキングピックアップはシングルコイルピックアップを二つ組み合わせて出来上がっているピックアップだと言うことです。
そしてこれは、シングルコイルピックアップの「このノイズはどうにかならんのか!」というところがそもそもの開発点なんですね。

シングルコイルピックアップの基礎知識でシングルコイルピックアップの弱点はノイズだとお話ししましたが、そうなんです。
ピックアップのノイズ対策として考え出されたのが、このハムバッキングピックアップなのです。
なので、ハムキャンセルピックアップなんて言われたりもします。

その考え方は、ノイズの波形に対して、逆相のノイズを足してやれば、ノイズ同士がプラスとマイナスで打ち消しあって消えるんじゃないか、と言うことなんですね。
例えば算数で考えると、プラス10とマイナス10を足すとゼロになりますが、そういうイメージです。

で、そのプラスのノイズを打ち消す目的で、マイナスのノイズを発生させるために使用するのが、もう一つのシングルコイルピックアップというわけです。

つまり、磁極(N極とS極)を逆にした二つのシングルコイルピックアップを用意し、それらを逆位相でつなげてやれば、弦振動による電気信号を残しつつ、ノイズだけを消すことができるってことなんですね。

もっとも、二つのコイルの間には距離があったり、多少なりとも条件が違うので、各々が「まったく同じノイズ」を拾うわけではありません。
と言うことは、コイルAとコイルBで拾う同じ(逆位相での)波形ノイズは打ち消しあって消えますが、コイルAだけが拾ったノイズ、また、コイルBだけが拾ったノイズは消すことができないのです。

なので、いくらノイズ対策で開発されたハムバッキングピックアップと言えども、完全にノイズを消すことはできません。
とは言え、シングルコイルピックアップに比べたらあまり気になりませんけどね。

ハムバッキングピックアップの特徴

さて、そのハムバッキングピックアップの音の特徴ですが、シングルコイルピックアップを二つ使っているだけに、シングルコイルピックアップに比べると出力(パワー)や音の腰があります。

ですが、その分、中音域や低音域のブースト感が強く、高音域が多少なりとも弱く感じられてしまいます。
よく、太い音って形容されたりしますね。

なので、クリーンの時の色っぽさはシングルコイルピックアップに比べると、個人的にはイマイチな感じはありますが、パワーがある分だけ歪みに強く、クランチからオーバードライブ、ディストーションまで、とにかく歪み方はキレイです。

音にエッジが立っていながらも、粘りや滑らかさのあるドライブサウンドが得られますので、ハードなロックには最適だと思います。
また、中音域や低音域の押しが強いので、サスティーン(サスティン)が長く感じられるのもGoodですね。

こんなハムバッキングピックアップがあったら最高!

さて、このハムバッキングピックアップもまた、各メーカーが注力して色々な製品を出しているわけですが、このチョイスもまた、楽しくもあり、難しくもあり。

ボビンに巻きつけるエナメル線の巻き数(ターン数)を調節してパワー感を変えてみたり、ピークとする音域を独自なものに設定してみたりと、まぁメーカーさんが頑張ってくれていますので、ピックアップ交換する際には目移りしてしまいますよね。

僕の理想とするギターサウンドは、クリーンからオーバードライブまではシングルコイルピックアップの音、ソロのディストーションはハムバッキングピックアップの音というものなんですが、まぁこういったピックアップは残念ながら、現在のところ開発されたなんて話は耳にしませんね。

このフィーリングに近い製品で、セイモア・ダンカンのP-Railsというピックアップがありますけど、ミニスイッチ等で切り替えをする必要があります。
できれば、切り替えをせずに歪みの量でキャラクターが変わるってのがいいんですけどね。

それと、ハムバッキングピックアップをタップさせてシングルコイルピックアップっぽく、と言う手もあるにはあるのですが、タップはやはりタップでしかなく、本物のシングルコイルピックアップとは違うんですよね。

また、本物のシングルコイルピックアップを二つ直列でつなげてハムバッキングピックアップにしてしまったタイプの物もあり、その場合にはタップしても本物のシングルコイルピックアップサウンドになります。

でも、そのシングルコイルピックアップ同士を直列で組み合わせた時の音が・・・。
それに、そもそもハムバッキングピックアップはソロの時は別に問題ないのですが、カッティングの時にはその大きさゆえ、ストロークの邪魔になってしまうので、僕としてはシングルコイルピックアップのサイズがいいんだよな・・・。

と、まあ、そんなわけで、どなたでも結構です。
そんな奇跡のピックアップを開発してください!
などと切に願う僕でした。