あなたは、レコーディングスタジオでギター録りを経験したかも知れません。

ブースの中でヘッドホンをしてのモニタリングは大丈夫でしたか?
僕は苦手です。

レコーディングスタジオで録音する環境

多くのレコーディングスタジオには、ミキサー卓や録音機材が配置されているコントロールルームと、ブースと呼ばれる防音材や防音ガラスで囲まれたスペースがあります。

ギターなどの各プレイヤーは、このブースで演奏し、それをコントロールルームで皆がモニターし、レコーディングが進行するわけですね。

コントロールルームでは、レコーディング・エンジニアやプロデューサー、ディレクターを始め、バンドメンバーやマネージャー達が、腕組みしながらブースで演奏するプレイヤーの録音を厳しくチェックしているわけです。
で、そのプレッシャーから逃れるようにして、プレイヤーはブースでプレイすると。

僕が初めてレコーディングスタジオでの録音を経験したときには、本当に戸惑いました。

と言うのも、ブースではヘッドホンを使ってオケ(この場合はドラムトラックとベーストラック)をモニターするわけですが、僕はこのヘッドホンモニターがどうにも苦手でした。

ヘッドホンでモニタリングする難しさ

僕は元々、ライブでプレイするタイプのギタリストだったわけで、家でギターを弾くときも、リハーサルスタジオで弾くときも、ヘッドホンでモニターする習慣がありませんでした。

ヘッドホンでうまくモニタリングするポイントは、やはり慣れですから、いきなり本物のレコーディングでヘッドホンモニターをするのは、今思えば厳しかったと思います。

どんな具合だったかと言うと、まずリズムが取れない!

バンドで演奏するときは耳ではなく、身体でリズムを感じるものです。
ドラムのキックとスネアがガイドになり、その音の隙間にベースが存在してハネ具合を表現し、それとギターが一体化するという。

つまり、リズム隊が発生させる音圧が、ギタリストの身体にダイレクトに伝わることによってグルーヴィーなギターが弾ける、ということなんですね。

だから、その音圧を身体で感じとることができないヘッドホンモニターは難しいのです。

案の定、生まれて初めての本物のレコーディングはあたふたでした。
普段なら普通にとれているリズムがとれないし、ピッキングのタイミングもおかしくなる。
そんなこんなで苦労しながらも、何とか初レコーディングは無事に終了したわけですけどね。

さて、それ以来、レコーディング経験を積んでいくうちにヘッドホンモニターにも慣れ、ブースで演奏しても、狙い通りのギタープレイが録音できるようになりましたが、ブースでの孤独感は常につきまとっていました。

ブースでの演奏でイヤな点といえば、演奏が終わった後のコントロールルームからのトークバックです。
「よし!これはイケた!」なんて、自分では完璧なプレイができたと思っていても、

うーん、惜しいなー、4小節目のアタマをもう一回行こうか。

なんてトークバックが来るとガッカリします。

一番キツいのは、演奏後に

OK、ちょっと待っててね。

なんてトークバックが来た後、5分くらいコントロールルームで話し合いが行われ(ブースからその模様が見える!)、その後に、

Good、良かったよ。

なんて言われる場合です。
Goodじゃないっての。

たぶん、「これ以上やっても変わらないから、これをOKテイクにしようよ」っていう感じの話し合いが行われたと思うんですけど、これは本当にイヤですね。

こういうレコーディング方法があったか!

さて、そんなある日のことです。

とある方のレコーディングを見学に行った際、僕は衝撃的な場面を目にすることになったのです。
なんと、その方はブースにアンプを置き、本人はミキサー卓の前でギターを弾いて録音していたのです!

おおっ、この手があったか!

さっそく次のレコーディングで僕も試してみたのですが、これはいい!本当にいいです。

生のドラムやベースのエア感はさすがに無いですが、ミキサー卓に置かれているでっかいスピーカーからオケが流れてくるので、あたかもバンドで演奏しているかのような、そういった感覚に近いものがありました。
オケを真正面から身体に受けてギターを弾けるわけですから、それも当然ですね。

それ以来、僕は、家でデモを録音するときは別ですが、レコーディングスタジオで録音するときは必ずミキサー卓の前でギターを弾くようにしています。
そうすると、かなりライブな感じで演奏ができるのです。

アンプはブースに置いてあるので、フィードバック奏法ができないという欠点はありますけどね。

ですので、ヘッドホンモニターに違和感が無い人は別として、もしもそれに抵抗がある人は、ぜひともミキサー卓前で録音してみることをオススメします。

特にライブ派のギタリストにはいいんじゃないでしょうか。
その場の反応もすぐにわかるわけですし、コミュニケーションしながら録音できるというメリットも大いにありますからね。