さて、アンプのセンドリターンの色々な使い方をお話ししましたが、その中で「モジュレーション系や空間系エフェクターはセンドリターンにつなぐ」とお話ししました。

そこで今回はその理由についてお話ししたいと思います。

エフェクターの種類

エフェクターを大別すると、ダイナミクス系、フィルター系、歪み系、モジュレーション系、空間系というように分けることが出来ます。
まずは、各系統の代表的なエフェクターをピックアップしてみます。

  • ダイナミクス系: コンプレッサー、リミッター
  • フィルター系: イコライザー、ワウ
  • 歪み系: オーバードライブ、ディストーション
  • モジュレーション系: コーラス、フランジャー、フェイザー、ピッチシフター
  • 空間系: ディレイ、リバーブ

さて、こういったエフェクターを直列でつなぐ場合を考えてみましょう。

エフェクターのつなぎ方

例えば、各系統から一つずつピックアップして、

■ギター
  ↓
■コンプレッサー
  ↓
■イコライザー
  ↓
■オーバードライブ
  ↓
■コーラス
  ↓
■リバーブ

とした場合、ここからギターアンプのインプットジャックにつなぐわけですが、アンプのセッティングがクリーントーンであれば問題ありません。

ですが、アンプを歪みセッティングにしていた場合、これは少々問題があります。
と言うのも、アンプ自体のセッティングは、信号の流れと効果に関わってきてしまうからです。

では、その辺を考えてみましょう。
まず、アンプをクリーンにセッティングにしたと仮定すると、それは言うならば素の状態ですね。
ですので、アンプのインプット直前までの音色が、そのままアンプから出力されるわけです。

その場合の信号の流れを見てみましょう。

  • ギターからコンプレッサーに進み、そこで音のツブを揃える。
  • そのツブの揃った音をイコライザーに流し、高域を強調させる。
  • その音をオーバードライブに流し、ツブが揃って高域の強調された音を歪ませる。
  • そのいい具合に歪んだ音をコーラスに流し、キレイに音を揺らして横に広がりを持たせる。
  • その音を最終的にリバーブへ流し、大きな空間の中にいるようなキレイな広がりを加える。

そして、その出来上がった音をそのままアンプから出すわけです。

クリーンセッティングであれば、これで問題ありません。
しかし、アンプを歪みセッティングにしていた場合を考えてみましょう。

上記と同じ流れで考えると、リバーブまででキレイに広がりを作っていても、アンプに入った時点で歪ませてしまいます。
エフェクター効果で出来上がったキレイな音を、最終的に全て歪ませてしまうことになるのです。

つまり、せっかくキレイに広がりを持たせたコーラスやリバーブを、ダーティーに歪ませてしまうということです。

これが好みの音ならまったく問題ありません。
結局は個人の好みが最優先ですからね。

しかし、こう考えてみましょう。

例えば小型ラジオから大好きな曲が流れてきたとします。
そこで、あなたは音量を大きくしようと思い、小型ラジオのボリュームを最大にしました。
すると、音は大きくなりましたが、グチャグチャに歪んでしまって聴きにくくなってしまいました。

つまりそういうことなんですね。
せっかくキレイに聴こえていたものを、最終的な段階で歪ませてしまうとそうなるのです。

ですので、アンプ自体を歪みセッティングにしている場合、キレイに聞かせる効果のエフェクターであるモジュレーション系と空間系エフェクターは、アンプの前に入れない方がいいのです。

アンプのセンドリターンを利用したつなぎ方

そこでちょっと視点を変えてみると、プリアンプは歪み具合を決める部分でもありますから、プリアンプを歪み系エフェクターとして利用しよう、と考えることができますね。

つまり、

■ギター
  ↓
■コンプレッサー
  ↓
■イコライザー
  ↓
■オーバードライブ
  ↓
■コーラス
  ↓
■リバーブ

という信号の流れを、

■ギター
  ↓
■コンプレッサー
  ↓
■イコライザー
  ↓
■アンプのプリ部(オーバードライブ)
  ↓
■コーラス
  ↓
■リバーブ

にする、ということになります。

では、それをどうやって可能にするかと言うと、ここでアンプのセンドリターンが役立ってくれるというわけです。
具体的には、アンプのセンドからモジュレーション系や空間系エフェクターにつなぎ、そこからアンプのリターンに戻してあげればいいのです。

その信号の流れを確認しましょう。

■ギター
  ↓
■コンプレッサー
  ↓
■イコライザー
  ↓
■アンプのプリ部(オーバードライブ)
  ↓
  アンプのセンドから
  ↓
■コーラス
  ↓
■リバーブ
  ↓
  アンプのリターンへ
  ↓
■アンプのパワー部

という流れになります。

このようにつなげば、アンプ自体の魅力的な歪みを活かし、そしてキレイなモジュレーション系や空間系エフェクターの効果を得ることが出来ます。

ただし、アンプのセンドリターンはラインレベル信号のやり取りになりますので、そのモジュレーション系や空間系エフェクターがラインレベルに対応していないといけません。

ラックタイプのエフェクターであれば、ほとんどの場合対応していますが、コンパクトエフェクターだと対応していない場合が多いですから、そこは注意が必要です。

ですので、アンプ自体にセンドリターン端子が無かったり、モジュレーション系や空間系エフェクターがラインレベル対応していなかったら、残念ながら上記の方法は使えません。

その場合はアンプをクリーンセッティングにして、歪みエフェクターを通常通りに使うことになります。